石狩月形
[北海道][鉄道] 札沼線紀行
日本国有鉄道投稿・No.530
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キハ40・札沼線 石狩月形
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篠路
◆篠路駅(札沼線)
2010/11/19
「札沼線篠路駅 変わるもの変わらぬもの」 エッセイJR北海道の駅
複線非電化の札沼線、篠路駅。
ディーゼルカーから長いホームに降り立ったら、駅舎とは反対側の駅裏手に、10階建てくらいの真新しいマンションが数棟聳えていた。
ホームの背後は札沼線の電化工事の真っ最中で、架線を張られる前ののっぺりしたポールが、線路に沿って雨後のタケノコの如くにょきにょきと生えている。これだけなら札沼線の札幌寄りの他の駅とさほど変わりはない光景なのだが。
ホームから雁木のような雪よけのある改札口を通って木造の駅舎の中をくぐる。と、景色が一変して落ち着いたものとなった。駅玄関の前に松の大木が一本。背が高くなりすぎないよう幹が剪定されており、暗い色の葉をつけた枝が形良くくねっている。その先には真っ直ぐに伸びる車通りの少ない道路。2車線なのに、4車線分の幅があけてあるのは、冬場、除雪の際ににどけた雪を道の両脇に積んでおくためらしい。
道路を挟んだ左右には風格のある古い倉庫がそこここに建っていた。長年の風雨にさらされて色が褪せているものの、どっしりとしたレンガ造りの倉庫。富良野線美瑛駅の駅舎の外壁と同様、火山灰が固まってできた凝灰岩の石材、いわゆる軟石で造られた荒削りの石造りの倉庫。
駅裏は札幌の中心部から徐々に進んできた都市化の波に飲み込まれ、再開発によるマンションなどが林立しても、駅のこちら側にはこのような歴史あるものが今もなお保存・使用されている。
石造りの倉庫の前には、札幌市北区役所によって立てられた小さな案内板が一つ。曰く、
「昭和10年(1935年)、札沼線の開通により篠路駅は野菜出荷の基地となり、にぎわいを見せた。周辺には石造りの野菜倉庫が建ち並び、全国に向けて玉ねぎなどが送り出された。」
そういわれてみれば、倉庫と札沼線の線路との間にはちょっとした空き地があり、三つ葉のクローバーや綿毛をつけたタンポポなどが散らばって生えている。この空き地には、昔、積み出し用の側線が敷かれていたのかもしれない。倉庫に貯蔵された農産物をここから蒸気機関車の牽く有蓋貨車に積み込み、札沼線から函館本線そして青函連絡船などを経由して内地にも出荷したのだろう。その比較的最近まで単線非電化だった篠路駅周辺の札沼線が複線になり、今度は電化されてその上を電車が走る。札沼線
砂日塚ノオの駅途中下車
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◆知来乙駅(札沼線)
2009/9/1
「札沼線知来乙駅 駅の周囲に点在する丸いもの」
エッセイJR北海道の駅
知来乙駅の周りには、そこかしこに牧草をロール状に丸めたものが点在していた。暇なので数えてみると、目に入る分だけでも40個ほどもある。牛馬の姿がないにもかかわらず、牧草ロールだけが目に付くので、奇妙な感じがしないでもない。実はこのロールは生きていて、夜になると好き勝手にコロコロ動きまわるのだ、といわれたら、信じてしまいそうな雰囲気がある。
1面1線の短いホームの先には、貧相な木造の駅舎小屋が建っていた。中に入ってみると、大した風でもないのに、木枠のガラス窓が、ガタンガタンとしきりに大仰な音を立てていた。古びた天井からは、裸電球が1個、笠もつけずにこちらをじっと睨んでいる。なんとなく落ち着かないので、再び外に出て、ホーム裏に転がっている牧草ロールの一つに近寄ってみた。機械で作ったのだろうが、ふわふわの牧草をよくこんなに固く丸められたものだ、と不思議に思いながら眼を近づけて見たら、このロールは、外側を透明な細いビニール紐でぐるぐる巻きにされていたのであった。
試しに両手をつけて少し押してみる。と、遠目には完全な円形に見えたこの牧草ロールは、自らの重みで、満月の一歩手前の小望月(こもちづき)のように地面と接する面がやや平らになっており、そのため意外と安定しているのか、コロコロ転がり出すどころか、まるで根が生えたかの如く、ぴくりとも動かなかった。
砂日塚ノオの駅途中下車
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