神田古書センター



1987
神田古書街
駿河台下の交差点に立つ。お茶の水橋から降りてきた明大前通りと,東西に走る靖国通りとが交わる他に,南西斜めに入るすずらん通りがあって車の往来が激しい。
駿河台下から神保町にかけての一体は新刊屋古本を扱う書店が立ち並ぶ本屋街である。
特に古本を扱う店は都内800軒のうち100軒以上がこの街に集まっている。
古本屋街で最も古いのは,明治8年(1875)創業の
高山本店
と明治15年創業の
大屋書房
である。
古本屋街の総本山と言うべきは創業明治36年の
一誠堂
である。
一誠堂の初代は越後長岡の人で代々酒井宇吉を名乗っている。
一誠堂をはじめ神保町には新潟県出身者が多いが,それはここで何年か修行した人が独立して,近くに次々と古本屋を開業していったからである。
一誠堂出身の店をあげると
東洋堂書店,
一心堂書店,
悠久堂諏訪書店,
山田書店,
小宮川書店,
崇文荘書店
などがある。
「書泉グランデ」は一誠堂の酒井宇吉の弟が始めた新刊書の店である。
また「岩波書店」も「三省堂」も元は古本屋から始まった。
しかし100年以上の歴史を持つ古本屋街も駿河台下交差点あたりでは徐々に姿を変えつつある。
靖国通りの北側に面して多くのスポーツ店が新しく立ち並び,春も終わろうというのにスキーを担いだ若い男女が楽しげに歩道を行き交っている。

東京路上細見一,林順信著,1987

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