[東京高輪] アンナミラーズ高輪店




[東京高輪] アンナミラーズ高輪店
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「アンナミラーズ」高輪店が8月末で閉店。バイト経験者が語る舞台ウラ
2022/8/30(火) 15:55
「アンナミラーズ」最後の路面店、アンナミラーズ高輪店が8月31日に閉店します。今年6月に閉店が発表されてからというもの、連日ものすごい数の客が店を訪れ、かつてないほどのにぎわいをみせているというニュースを見かけます。
肉まん・あんまんで有名な井村屋グループ株式会社(当時は井村屋製菓株式会社)が、1973年にアンナミラーズの日本1号店を青山にオープンしました。アメリカ料理とホームメイドパイを提供するレストランチェーンとして、通称「アンミラ」と親しまれ、店舗は青山、赤坂、自由が丘、広尾、駒沢など、おしゃれな街に出店。日本国内だけで最大20店舗出店されました。1ピースが大きめで値段も高めのパイをメインにしたファミレスも珍しかったと思いますが、一番の人気はやはりあの制服と言えるでしょう。
■アンナミラーズでバイトした私だからこそわかる魅力
閉店発表後、いろいろな記事やコラムを目にしましたが、そのほとんどはアンナミラーズを外側から見て書かれたものでした。アンナミラーズ高輪店、渋谷店でバイトした経験を持つ筆者は、古いアルバムから当時の写真を探しました。ウエイトレスとしてアルバイトしたからこそ話せるアンナミラーズの魅力を記録しておきたいと思います。
アンナミラーズを知ったのは、東京の女子大生の青春をリアルに描いて当時人気だった吉田まゆみの漫画の中に登場していたからです。キラキラした東京の女子大生の憧れのアルバイト。当時、アンナミラーズでアルバイトをしたくて集まってきた女子大生のほとんどは「あのカワイイ制服を着たい!」と思っている子たちでした。もちろん私も。着たい制服で言うと、アンナミラーズか、スペアリブのレストランチェーン店「トニーローマ」で迷ったという子が多かったのです。
今回この記事を書くにあたって調べてみると、今のトニーローマの制服は普通の地味なものになっていました。今回、アンナミラーズは閉店してしまうけれど、最後まであの制服が変わらなかったというところも凄いなと、あらためて思いました。
■先にバイトしている先輩は「さん」付けで呼ぶ
高輪店~渋谷店がオープンしたアンナミラーズ全盛期の頃、アルバイト情報誌「FromA」でアンナミラーズのバイト募集を見つけて応募して、面接を自由が丘店で受け、高輪店で働き始めました。高輪店は品川駅から横断歩道を渡った正面のビル「Wing高輪」の2Fにありました。制服はピンクとオレンジの2色があり、ベージュのストッキングに白のデッキシューズ、真っ赤なハート型のネームプレートにはファーストネームが英表記。お互いに名前で呼び合う感覚が最初はちょっと照れくさく不思議な感じでした。年齢は関係なく、アルバイトを始めた日が早い人を「きよりさん」など名前のさん付けで呼び、自分より後に入った人のことは「きより」と呼び捨てというルールで、キッチンボーイら男子のことも名前で呼びます。友達でも彼氏でもない男子を、バイト初日から先輩なら「レオさん」、後輩なら「レオ」といった具合に呼ぶちょっとした違和感。店長である井村屋の社員の男性のことも「アキラさん」など名前で呼ぶ決まりが、なんともむずがゆい感じでしたが、すぐに慣れてました。
■制服のリボンはキッチンボーイが結ぶ!?
アンナミラーズの制服は背中のリボン結びでウエストがギュッと締められているのが特徴で、きつくギュっと締めないと、ピシっと美しく着こなせないんです。そして、女の子たちのリボンを結ぶのは、キッチンボーイの仕事、と当時は決まっていました。更衣室で制服に着替えて、背中のリボンだけ結ばない状態で、バックヤードでキッチンボーイに「レオさん、リボンお願いしまーす」と声をかけて、結んでもらいます。結んでもらう時は息を止めておなかを最大限に引っ込めました。
■パイをきれいに切れればウエイトレス合格!
他では見ないジョッキ型みたいなコーヒーカップもアンナミラーズオリジナル。コーヒーはおかわり自由です。コーヒーの入ったデキャンターを持って、「コーヒーのおかわりいかがですか?」と聞いて、「ください」と言われたら、取っ手の部分を持って、コーヒーを注ぎます。パイのオーダーが入ると、自分でホールのパイから1ピースをカットしなければなりません。丸いままの手つかずのホールパイを初めてカットする時は緊張しました。中心から力を入れてケーキサーバーみたいなナイフを差し込み、生地のサクサクした部分が崩れないように一気に手前に切ります。これが出来ればウエイトレスの仕事は合格です。ブラウンシュガーにシナモンの香りの「ダッチアップルパイ」を温めて、バニラアイスクリームをトッピング…がアンナミラーズ通好みの食べ方で、冬場の人気メニューでした。
■マニュアルを手作りで作成
新人のバイトが入ると、先輩ウエイトレスが仕事を教えます。テーブルの片づけ、フォークやスプーンの並べ方、コーヒーのおかわり、オーダーの取り方、オーダーの通し方、パイのカット、ケチャップやマスタードの補充の仕方、お客様のご案内など・・・。実は当時共通マニュアルがなかったので、ウエイトレスのマニュアルをイラスト入りの手書きで、クリアファイル20ページ分くらいにまとめたものを筆者が作りました。あれから年月は過ぎ、気づけばアンナミラーズの店舗は高輪店だけになっていました。近年は、品川ステラボールでKpopアイドルのライブイベントが開催された時、帰りにアンナミラーズでパイをテイクアウトするのが楽しみで、バナナパイ、チーズケーキ、ダッチアップルパイはマストでお持ち帰りしていました。
1983年にオープンした高輪店が、2022年8月に閉店します。今後もパイはオンラインショップで購入出来ると言われていますが、制服やマグカップなど店舗でなければ感じることができないアンナミラーズ独特の世界観が失われてしまうことが、とても寂しいです。
<文・松本きより>
【松本きより】
K-POPニュースサイト「KpopStarz」日本語版編集長/韓流・女性トレンドジャンルの企画プロデュース。
著書に『女子ラーメン部』『東京カフェdeスイーツ』『ブルースリー伝説』、J-ROCK/UKバンド/Kpopムックなど約100冊。インタビューしたアーティストのべ2000人以上
最終更新: 8/30(火) 21:48
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食べ納め! ?閉店までカウントダウン、日本最後の『アンナミラーズ』高輪店で実食
2022/8/11(木) 6:00
食べ納め!? 閉店までカウントダウン、日本最後の『アンナミラーズ』高輪店で実食
『アンナミラーズ』は1973年6月13日、東京・南青山で1号店がオープン。日本ではホームメイドパイやハンバーガーが一般的ではない時代、圧倒的な個性をはなってのデビューであった。それから49年間、多くの人に愛されてきたが、品川駅周辺の再開発に伴い、8月31日に国内最後の店舗・高輪店が閉店する。そんな『アンミラ』の人気メニューをラスト実食!
平日と侮るなかれ!『アンミラ』との別れを惜しむ人の来店多数
6月中旬に『アンナミラーズ』(以下、『アンミラ』)高輪店の閉店が発表されてから、店は毎日大盛況だともっぱらの噂。そのため、店内利用・パイのテイクアウトともに整理券配布、店内利用は90分制(1組4人まで)、パイは10時と18時の2回のみ販売(店内飲食、テイクアウトともに)というシステムになっている。混んでるとはいえ、平日ならば空いているはず。開店の9時より1時間くらい早ければ大丈夫でしょ!7月下旬、8時に到着……した筆者は16人目。想像以上に多い。幸いにも先頭集団はグループ客が多かったため、筆者は整理番号9。1巡目に入店できた。
あさイチの入店なら、アメリカンなモーニングを楽しもう!
1巡目の店内利用での食事は[朝食]になる。ならば、トーストとパンケーキが同じ皿の上にのる、いかにもアメリカンなモーニングが食べたいところ。事前にネットで確認し熟考して決めた、「ファーマーズブレックファスト」(1210円)を迷わずオーダー。添えられたホイップクリームは、パンケーキが温かいうちにオン。アメリカっぽい甘さを楽しむべくシロップはすべてかける。シロップがしみた部分と溶け出したホイップクリームで、パンケーキの美味しさが倍増。カットしたベーコンを合わせると、甘じょっぱく、アメリカのダイナー感が増して筆者は大満足だった。卵を3つは使っている?思いがけずボリューミーなスクランブルエッグは、ふわふわ。セントラルキッチンではなく、注文ごとにキッチンで作っているのだろうか?ホテルメイドの朝食レベルのクオリティだ。食べている途中で、店員さんが「コーヒーのおかわりいかがですか?」とテーブルをまわってきた。飲み物はドリンクバーでセルフが当たり前になり、すっかり記憶の彼方になっていたサービスに気分が上がる。実は、このコーヒーおかわり無料サービスは、日本では『アンミラ』が最初にはじめたという。白いブラウスにオレンジやピンクなどのエプロンとミニスカートを組み合わせた制服の店員さんが、コーヒーポットを片手に席をまわる。オープン当時の70年代、日本は個人経営の喫茶店が主流だった。アメリカ映画の中のダイナーが日本で体験できた『アンミラ』は、当時はさぞ新鮮だったに違いない。
■14種類のパイからどれを選ぶ?迷うのも楽しい、アメリカンなパイ選び
10時になり、店員が各テーブルをまわり、パイの店内飲食とテイクアウトのオーダーを取りはじめた。店内で「バニラアイスクリーム」(220円)か「ホイップクリーム」(110円)のトッピンクをして食べたかったところだが、トーストとパンケーキのボリュームに撃沈した筆者。テイクアウトを選択した。13種類(取材日はレアチーズケーキの用意がなかったため)の中から選んだのは4種類。一番人気の「バナナチョコレート」、アメリカらしさ全開の「チェリー」、90年代のリバイバルである「ココナッツカスタード」、国内で見かける機会の少ないアメリカの伝統的なパイの「キーライム」だ。
パイは高輪店が閉店後もオンラインショップで販売が続く。だが、メニューが限られていることや、1ホールでの販売になる。高輪店に足を運ぶなら、マストチョイスはオンラインにはないパイだ。一番人気の「バナナチョコレート」は、ホイップクリーム、チョコレートフィリングとバナナの甘さのバランスが絶妙。間違いない美味しさだ。選んだ4品中、もっともサクサクのパイ生地を味わえたのもポイント高し。ホイップクリームの量は多いが意外とあっさりしていて、見た目のボリュームの割には1ピースをぺろりと完食できる。オンラインでの扱いはない(オンラインの情報はすべて2022年8月現在)。順次販売していた復刻パイのひとつ、「ココナッツカスタード」。カスタードは密度が高く濃厚、甘さも程よい。かすかに塩気を感じるパイ生地はしっとり系で、フィリングとの相性がとてもよかった。ほろ苦いカラメルソースは全体の味に締まりを与え、当時人気だったのも納得だ。オンラインでの取り扱いはない。食べごたえ充分な少し固めの練りパイの生地に包まれた「チェリー」。サワーチェリーの爽やかな酸味が特徴で、フィリングはたっぷり。90年代を過ごした人なら懐かしい、米ドラマ『ツイン・ピークス』に登場したチェリーパイと見た目がかなり近い。"あの頃"を思い出したいならぜひ!オンラインで購入可。風味豊かなキーライム(メキシカンライム)を使った「キーライム」。柑橘系らしい酸味とほのかな苦み、練乳入りのフィリングの甘さとのバランスがお見事で、真夏に食べたくなる爽やかさ。グラハムクラッカーを砕いたパイ生地からはシナモンが香る。そんな個性派なところも魅力のパイだ。オンラインでの取り扱いはない。
■サンドイッチをテイクアウトして、最後の『アンミラ』をとことん堪能
朝食、パイに続き、欲張った筆者がどうしても味わいたかったのが、「パストラミルーベン」(1320円)。ところが、提供は11時から。店内利用は90分制のため、筆者が滞在できる10時30分までの間にはオーダーできない。でも、コロナ禍でテイクアウト需要は多くの飲食店が対応に慣れているはずだから……。ダメ元で会計時に「11時に引き取りに来るのでオーダーできないか?」と頼んでみたところ、なんとOK!閉店を発表してから毎日行列、大忙しにも関わらず、このホスピタリティ。さすが、コーヒーおかわり無料の先駆けの『アンミラ』。感謝である。テイクアウトボックスを開けると、満腹にもかかわらずスイスチーズのナッツっぽい香りに食欲がそそられた。アメリカ料理らしくライ麦パンのスライスは薄く、表面はカリカリにトーストされていて視覚的にも美味しそう。実際にひと口目から美味しかった。フィリングは、胡椒がピリリと効いたパストラミビーフ、コクあるスイスチーズ、酸味控えめのザワークラウト。量と味ともにバランスがとれている。ザワークラウトのほのかな酸っぱさが後味さっぱりで、満腹だったはずなのにパクパクと食べられた。提供時間に店内利用できるのであれば、このサンドイッチもぜひ味わっていただきたい。
ところで、筆者が『アンミラ』を訪れたのは、広尾店が閉店して以来のこと。16年ぶりか、それ以上になるが、当時の印象と変わらないと思ったのは、丁寧な接客とチェーン店にもかかわらず提供されるメニューにどこか手作りの温もりがあることだ。それもそのはず。テーブルにセットされたノスタルジックなデザインの紙メニューには、「アメリカ・ペンシルバニア州に住む【ペンシルバニア・ダッチ】と呼ばれる人々の素朴で温かい家庭料理を原点としています」と記されている。そんな背景がある『アンミラ』と、井村屋製菓株式会社(現・井村屋グループ株式会社)の初代社長・井村二郎氏がサンフランシスコで出会ったことで、日本上陸を果たした。そして、アメリカのアンナミラーズ社と提携を結び、和菓子の印象を払拭するためか、「アンナミラーズ事業部」を立ち上げ事業開始。1号店の青山店のオープンは1973年だが、実は、外食産業の大転換期と重なる。『すかいらーく』、『フォルクス』、『ケンタッキー・フライド・チキン』(1970年)、『マクドナルド』、『ミスタードーナツ』、『ロイヤルホスト』(1971年)、『ロッテリア』、『モスバーガー』(1972年)など、ファミレスやハンバーガーチェーンの1号店が続々とオープンしていたのだ。その中においても、『アンミラ』が提供する練りパイの豊かな食感、濃厚なカスタードクリームなどは当時の日本になく、他店も取り扱っていなかった。衝撃なデビューだったのは容易に想像できる。さらに、制服のかわいらしさも相まって、唯一無二の存在となった。
それなのに、2022年8月でサヨナラなのだ。だが、ノスタルジックな紙メニューの裏を見て思った。再開発がなければ閉店しなかっただろう。というよりも、再開発のため、一時的に49年の歴史に幕を下ろすだけなのかもしれない。ハートマークの上に印刷された
「Stay tuned for more information. We’ll be right back!(続報にご期待を。すぐに戻ってきます)」。
出店の条件がそろえば再出発する気満々ですよね?再会できる日を、お待ちしております。
■アンナミラーズ高輪店
[住所]東京都港区高輪4-10-18 ウィング高輪 WEST 2階
[電話]03-3443-3385
[営業時間]9時~22時(20時LO)
[休日]無休
[交通]JR山手線ほか品川駅高輪口より徒歩1分
取材・撮影/Naviee参考資料/FOODLABO
最終更新: 8/11(木) 6:00
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閉店のアンナミラーズ 会長は「撤退ではありません。We shall returnと言いたい」
8/7(日) 7:15
あずきバーや肉まんで知られる井村屋(三重県津市)が運営するレストラン「アンナミラーズ」の国内最後の店舗である高輪店が2022年8月31日、閉店する。同社が閉店を発表した6月以降、高輪店には連日、名残を惜しむ客が殺到。なぜ“アンミラ”はこれほど愛される存在になったのか。現・井村屋グループ会長の浅田剛夫氏が、日本での1号店秘話から、制服、メニュー、新店の行方までを語った。【前後編の後編。前編から読む】
【写真】アメリカで修業中の浅田剛夫氏(当時29歳)。アルバイト時代の遠野なぎこの写真なども
 * * *
──1号店の青山店はオープン時から盛況でしたか?
浅田:1号店は宣伝をせず、スローな立ち上がりでした。ミラー氏の経営哲学がアンナミラーズの真髄になっていることが多く、1号店開店の時からずっと変わらないアンナミラーズのポリシーのひとつが「クワイエット・オープン」です。新店を出す時は静かにオープンしよう、宣伝も何もするなというのがミラー氏の揺るぎない考えなのです。オープン日は緊張しているし、どんなに準備をしっかりしてもミスは起こるもの。いらっしゃったお客様は不満を持って帰る……。「そんな日に、人を集めるためのセレモニーをするな」と言うのです。1号店のオープン日の売り上げは6万7000円でした。ウエイトレス全員に支払う日給より少なかったことは、今も忘れられません。
──知名度が高まり、人気が出始めたのはいつ頃だったのでしょうか?
浅田:1号店がブレイクしたのは、女性誌『anan(アンアン)』、『non-no(ノンノ)』が取材し、アメリカっぽいデザインの廊下などの写真が掲載されてからです。オープンから1年ほど経ってからですね。新タイプのトレンディーなレストランとして誌面で紹介されたことで、「青山にこんな店がある」と一気に情報が広がり、それからは火がついたように多くのお客様がいらっしゃいました。
──インテリアなどは米国から輸入したのですか?
浅田:米国から持ってきたものもありますが、ほとんどは日本で調達しました。日本での開業にあたり、店舗設計やインテリア、テーブルウエア、メニュー、ユニフォーム、テイクアウト用ボックスなど全体をデザイン、コーディネートしてくれたのが、一級建築士でデザイナーの今竹翠先生です。私が修業中のサクラメント店に数日間来ていただき、写真を撮ったり、現地スタッフからヒアリングしたりした後、私よりも先に帰国して開店準備を進めてくれました。コーヒーカップも当初から今竹先生のデザインで、国内の窯で焼いた特注の陶磁器です。現在も同じデザインのメイド・イン・ジャパンのカップです。とても凝った造形で、脚、柄(え)、カップ部分の3つのパーツを職人がひとつひとつ手でくっつけています。
──あの一世を風靡したウエイトレスの制服も今竹先生のデザインなんですね。
浅田:基本的には米国の店舗と同じですが、今竹先生は日本人の体格に合うようにブラウスを日本独自の立ち襟にデザインしました。制服の色は当初から米国の店と同じ、オレンジ、ピンク、赤の3色を用意。チロリアンテープは探すのが大変だった思い出があります。私は1号店から15号店までアンナミラーズに勤務し、かなりの数の店舗でアルバイトの面接を担当していました。ユニフォームを着てみたいと思っていただいた女性の方は当初から多かったです。「かわいい」「着たい」と大勢の女性が制服に憧れてアルバイトに応募してくれ、人材確保には全く困りませんでした。今でも人気の高さは変わりません。1号店では井村正勝氏(後に井村屋社長)が店長を務め、私がマネジャー的な役割を担いました。店舗展開のマネジメントの仕事も担当でしたが、キッチンもフロアも関係なく、何でも屋でした。アンナミラーズの仕事は何もかもが初めてであり、井村屋には手本がありませんでしたから、試行錯誤で取り組みました。私は『ホスピタリティ・インダストリー(おもてなし産業)とアンナミラーズ』と題した指南書を執筆し、スタッフ全員に配布して学んでもらいました。すべてのメニューのレシピや調理ノウハウ、マニュアルも最初は手作り。アルバイトのための教育映像も手作りでした。
──制服のマニュアルも作ったのでしょうか?
浅田:当初から、かなり細かいユニフォームマニュアルを作ってありました。たとえば、後ろのリボンの結び方については「ぴっと張っていなければいけない」とか、エプロンの裾とスカートの裾の間は長すぎてはいけないといった規定があったと思います。
──アンナミラーズは日本のレストランでは初めてというサービスにも積極的でした。
浅田:コーヒーのおかわり無料サービスも日本のレストランでは初だったと思います。あのサービスは「ボトムレスカップコーヒーサービス」と言うんですよ。ボトムレス=底がない。底がないから、どれだけでも飲めるということに由来します。「何名様でいらっしゃいますか?」と入口でお聞きし、人数に応じて、その時点で一番いいポジションの席に案内するというサービスも日本では初めてだったと思います。
──高輪店には、ミラー氏の若い頃の写真が飾られていますね。
浅田:ミラー氏とは実業家としても仲の良い友人であり、井村二郎氏(1号店開店当時の社長)に続く、私のメンター(師匠)でもあります。ある時、ミラー氏に「レストランビジネスで一番大事なことは何ですか?」と聞いたことがあります。すると、彼は即答で「ロケーション、ロケーション、ロケーション」と力強く言いました。立地が最も大事、だと。11号店にあたる高輪店は当初、「家賃が高すぎる」との理由で、役員会で却下された店なのです。投資金額が高すぎることから、社内の経営判断で、ここには出店しないと決まりました。
ところが、その直後にミラー氏が来日し、「なんでこの場所を断るんだ? ここはホームランショップになる!」と言い切りました。そして、私に「もう一度、本社に掛け合え」と求めてきました。一般的に会社の役員会でノーと判断されたことが復活することは普通ありませんが、なんと高輪店出店案件が復活したのです。ミラー氏の真剣さにほだされ、頑張ってやろうということになったわけですが、結果的に、ここに出店してよかったと思います。
──ホームランショップになったのですか?
浅田:ミラー氏が言ったとおり、ホームランショップになりました。高輪店は開店日からすごかったですよ。オープン日の売り上げは110万円超、今もよく憶えていますよ。開店した年は年末まで、連日とんでもない売り上げを継続しました。高輪店は現在まで黒字が続いています。どうしてミラー氏には「ホームランショップになる」と最初からわかったのか。高輪店は2階に位置する。2階は1階よりも立地環境は悪いというのが、レストランの常識なんです。しかし、彼はこう指摘しました。「品川駅の真ん前に位置し、高輪口を出ると目の前にショッピングセンターがあり、その2階に入る店が視界に飛び込んでくる。ここは1階と同じだ」と。高輪店は遠くからも見え、1階からエスカレーターで上った場所にあり、デッキでつながっている。動線も含めて1階と同じで、とてもいい立地と彼は判断したのです。
──高輪店の閉店でアンナミラーズの灯火がいったん日本の街から消えます。パイやチーズケーキは引き続き公式オンラインショップで販売していくそうですが、閉店を惜しみ、新店のオープンを望む声が高まっています。
浅田:39年間にわたり運営してきた高輪店は、国内で最後まで残ったホームランショップとして幕を閉じます。今年8月31日で閉店しますが、国土交通省の品川駅西口基盤整備事業に伴う移転要請を受けての退店であり、撤退ではありません。いい場所が見つかれば、もちろん、新店を出してアンナミラーズのスタイルと文化を引き継いでいきたい。「We shall return(我々は必ず戻ってくる)」と皆さまに言えるよう、高輪店同様の集客力が得られる立地を探そうと担当部署に話しています。
(了。前編から読む)

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