[東京早稲田] 早稲田大学 



1922年の早稲田大学 
早稲田大学會津八一記念博物館
 藪野作品には、先に紹介した2点の油彩だけではなく、日本や世界中の風景を描いたデッサンも多数あります。
中でも、早稲田大学會津八一記念博物館では500点以上の早稲田風景を描いたデッサンを所蔵しています。
本展覧会では、「早稲田風景今昔」と題して、藪野氏の描く早稲田風景を22点展示しています。
本作は早稲田大学の前身である東京専門学校の創立40周年頃の早稲田を描いたものです。
1920年の大学令によって正式な大学に昇格した直後のキャンパスで、洋風の瀟洒な建物が並んでいます。
旧大講堂やグリーンハウス、商学部校舎、恩賜記念館といった建物が描かれ、現在のキャンパスとは異なった雰囲気が広がっていたことがうかがえます。
藪野氏の早稲田風景を見れば往時のキャンパスを容易に思い浮かべることができるでしょう。


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「藪野健展―記憶の扉を開けて」に寄せて
柏﨑 諒/早稲田大学會津八一記念博物館 助手
 早稲田大学會津八一記念博物館は2018年5月に20周年を迎えました。
これもひとえにご来館者や当館に御尽力をいただいた皆さまのおかげと深く御礼申し上げる次第です。
この度、創立20周年を記念して
「AIZU MUSEUM創立20周年記念・藪野健展-記憶の扉を開けて」
を開催いたします。
藪野健氏の作品は早稲田大学の各所に展示され、キャンパスではデッサンを描く姿を見かけることができます。
藪野氏は在学生・卒業生にとって最も親しい画家といえるでしょう。
2014年に早稲田大学栄誉フェロー、2018年には早稲田大学芸術功労者として顕彰されています。
藪野氏は日本藝術院会員、二紀会副理事長等としてわが国の洋画界を牽引しておられますが、油絵を始められたのは20歳の頃からです。
早稲田大学大学院修士課程美術史専攻修了後、マドリードの名門校サン・フェルナンド美術学校に留学します。
留学中の「考え方や見方を根底から揺さぶられる」体験を経て、歴史への情念の「昏(くら)さ」と記憶の「深さ」を、
現実の都市と実在しない都市の建築的表象化を通じて探求する独自の画境を開かれました。
また、早稲田大学では芸術学校、理工学部等で長年教鞭を取られ(2010–13年理工学術院教授、2011–12年會津八一記念博物館館長)、
本学の創成期から現在に至るキャンパスの風景を多数描かれています。
本展では「記憶の都市」を描いた油彩や早稲田大学のキャンパスを描いたデッサンなど、「藪野ブルー」と評される作品を中心に展示いたします。
ここでは、本展出品作をいくつか紹介いたします。

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http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/culture/180711.html