北比布駅 |
北比布駅(宗谷本線)
北比布の駅舎は、所々ひびの入ったブロック造りの物置のような建物であった。陰鬱な室内には、壁に沿って椅子が据えつけられていた形跡が残っているものの、今は取り外されており、代わりにその下の地面からペンペン草のような雑草が一本生えていた。この中にいると、まるで、どこか北の国の収容所にでも放り込まれたような気分になる。が、一歩外に出ると、周囲は紛れもなく豊かな北海道の風景であり、駅前に伸びる一本道の両側には、肥沃な畑や水田が広がっていた。
目がくらむほど強い日差しの中、その一本道を進むと、じきに交差点に出た。すぐそばには「北5線11号」と書かれたバスの待合室が建っている。先ほどの駅舎の約3分の1の大きさだが、こちらの方が余程綺麗であり、荷物を下ろしてやれやれと一息つく。待合室の向かいに広がる畑では、農家の人が2人、腰を直角に曲げたまましきりに草を取っていた。あの薄暗い駅舎の中でさえ草が生えるほどなので、ましてやこのような明るい畑の中では、放っておくと雑草がはびこって仕様がないのだろう。農業、とくに畑作の場合、労力の8割以上は草取りに費やされるという話をどこかで聞いたのを思い出す。うねうねと続く畝を眺めながら、とても私などには出来ない根気のいる仕事だな、と思っていると、旭川の方に行くローカルバスが、畑の向こうから交差点を曲がってこちらにやって来た。
砂日塚ノオの駅途中下車
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/76.html
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/263.html
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/349.html
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糠南駅 |
糠南駅(宗谷本線)
運転士は慎重にブレーキを使って、1両の半分ほどしかない糠南(ぬかなん)駅のホームに停車した。ホームは、Tの字の形をしており、突き出たところに1畳分ほどのヨド物置が立っている。これが、この駅の駅舎であるらしい。ガリガリと音をたてて扉を左右に開け、物置の中に入ってみると、木製のみかん箱をひっくり返して、その上に布を敷いただけの簡易な椅子があった。椅子のはしっこには、誰が置いたのか、小さな猫の置物が座ってこちらを見上げている。こんな駅舎もあるのだなあ、と感心しながら、その椅子に座って一息つく。
目の前は牧草地で、ロール状にされた牧草が白いカバーをかぶっていくつか転がっている。その様子を眺めながら、しばらく物置の中で明日の旅程などを練っていたら、ふいに、ゴゴゴという低い音が遠くで響きだした。見渡す限り、周囲に人の気配がないので、おや、と思っていると、その音はだんだん大きくなりながら、ゆっくりとこちらに近づいてくる。何事かと思いながらホームに出てみれば、人の背丈ほどもある大きなタイヤをつけたトラクターが、例の牧草ロールをフォークリフトのように車の前で抱えて、駅舎裏の未舗装の道をゆっくりと移動しているのであった。
(2006年7月10日)
@旭川953-(特急スーパー宗谷1号)-1201@天塩中川1210・・(自転車)・・1240@佐久1250-1308@筬島1402-1505@南幌延1510・・(自転車)・・1520@安牛1527-1539@糠南1640・・(自転車)・・1705@問寒別1723-1731@雄信内1807-1820@歌内1837-1927幌延2319-(特急はなたび利尻)-
砂日塚ノオの駅途中下車
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