[鉄道][北海道] 宗谷本線/下沼駅






[鉄道][北海道] 宗谷本線/下沼駅
宗谷本線下沼駅 
旧南下沼駅の跡地」  
エッセイJR北海道の駅
下沼駅(宗谷本線)
稚内行きの夜行列車の自由席から幌延駅に降りた。4時半であるが、辺りはもうすっかり明るくなっており、駅前に人影が見えないのが奇妙に思われるほどである。ここから北隣りの下沼駅を目指し、折りたたみ自転車で幌延の町並みの間をこいでいった。宗谷国道に出て、時たま通る車の脇を進んで行くと、やがて、国道が宗谷本線をまたぐ地点に来た。
ここが最近、廃駅となった南下沼駅のあった場所であり、今も旧駅への進入路として、陸橋のたもとから未舗装の小道が線路に向かって伸びている。ホームの残骸か何か残っているだろうと思いながら、国道から分かれ、その小道を進んで唖然とした。駅の形跡が全く何も残っていないのである。ホームのあった場所は更地になっており、雑草が所々入り込んでいる。わずか3ヶ月で駅のあった場所が見事なまでに自然に戻っていた。JRの片づけ方がうまいのか、北海道の自然が厳しいのか、その両方なのだろうが、今まであったものが跡形もなく消え失せているのを見ると、狐につままれたような感じがする。また、国道に戻り、さらに2kmほどこぐと、牧場が点在する下沼地区に入った。牧草の上で白黒まだらの乳牛たちが、寝の足りないような顔つきでこちらをぼんやりと眺めている。彼らの脇を通って、ようやく下沼駅のそばに来ると、駅前には地下水をくみ上げた洗い場があった。あまり期待もせず、ホースの先から手で掬って顔を洗ったその水の清々しいこと。地下の岩土の具合が余程良いのであろう。南下沼駅の跡が残っていないことなど忘れるようであった。

砂日塚ノオの駅途中下車
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