1977年秋
いろいろな路線がクロスする地下鉄では、乗換えにより様々な行きかたができる。
そこで地下鉄の運賃の算定方法は、行き先の駅までの最短距離を基準にした対km料金で計算する。
結果、乗客が実際に乗車する経路と運賃算定経路(最短)との間にズレができる。
例えば、利用者が最も多い経路「渋谷~銀座」まで行くとしよう。
全線を銀座線で乗った場合、両駅間は7.2kmなので120円になるはず。
しかし、実際は最短経路で算定して
渋谷~銀座:100円
となる。
なぜなら、最短距離で行くと、この金額になるから。
最短経路で行くとすると、
銀座線[渋谷~表参道]~千代田線[表参道~霞ヶ関]~丸の内線[霞ヶ関~銀座]
という経路になるが、なかなか乗換えは面倒なものだ。
それよりも座ったまま行ける銀座線一本で行く人がほとんどだろう。
そこで、営団は
「実乗車距離よりも20円の損失になる」(営団事業部藤田計画課長)
事になる。
現在、地下鉄の乗車区間は全線で4851区間。
1977年秋の営団の調査では、このうち、実乗車区間よりも
20円安い区間が691区間。
40円安い区間が9区間で、
合計700区間。
前区間の14%にあたる。
その推定乗客数が2550万人。
地下鉄の年間利用客が約4億4700万人だから、
20人に1人は得をしている計算になるという。
さらには、相互乗り入れで、
地下鉄の最低1区間:80円
よりも安くなる区間さえあるのだ。
―地下鉄 ただいまモグラ族1000万人(コーキ出版,1978年刊)
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