[レビュー] 『サンキュー・チャック』(26.5)〜リンチ的パラノーマルワールド
TOHOシネマズ日本橋
🕐26.5.25
『サンキュー・チャック』
月曜18:50〜。都内の上映館は日本橋と錦糸町くらいの小規模上映。宇多丸,岡田斗司夫,伊集院光の3氏が絶賛していて,今週で終映なので急ぎ予約して観る。予約はクレジット/au Pay/PayPay…など多種方法があるが,今後は劇場で買えるTOHOギフトカードで予約する事にした。高級ショップが軒を連ねる大手町・日本橋は用事もなく滅多に寄り付かんが,神田呑屋街・秋葉原の隣町なので,帰り道の食事はバラエティに富む。
スティーブン・キング原作『サンキュー・チャック』。感想から言うとデビッド・リンチ監督の作品に類するパラノーマル感があって,特に最後の章では号泣してしまった。こういう訳わからんパラノーマルなシナリオで涙腺引っこ抜くっていうのは,原作の出来と,監督のシナリオ構築技術だろうか。「キングのハート・ウォーミング面のある映画」という映画評が多かったが,個人的な印象は「ややマイルドなキング・ホラー」。これはどこまで行ってもホラーでしかないよ。キング映画の入口として最適なのではないか。
冒頭の文明消滅の章で繰り返される「サンキュー・チャック」の広告。続く章で語られるチャックの人生。平凡な一会計士の人生,…路上アーチストの演奏で踊って路上で喝采を浴びたのがピークのような地味な人生。しかも会計士>>脳障害>>車椅子生活>>死亡>>カリフォルニア州沈没>>天体消滅…という絶望的タイムラインを遡っていく。3章>2章>1章と過去に遡っていくシナリオ構造で,ストーリーテリングの力がないと,観客離れをおこす危険がある構造ではある。低EQワイにとっては,冒頭のモタつき感に,当初は半分落胆した。そもそも法廷ものとか,思考型映画は苦手だ。が3章後半から映像で引き込まれていく。中盤で『スター・ウォーズ』ルーク役のマーク・ハミル登場。出っ腹のアル中老人役がハマっている。ウイスキー1本呑んだ後の酩酊状態だが,あれが演技なら名演だ。宇多丸氏曰く「ホラー作品であれ,ハート・ウォーミング作品であれ,マインドの力が人生を,世界を変えていくというのがキング作品の一貫したテーマ。人生/世界を好転させるのも崩壊させるのもマインドである」。今作が描くのは崩壊の坂道を堕ちていく世界を,逆再生するシナリオであって,表面上は希望に向かっていくように感じるが,それは逆再生しているだけであって,希望ではない。なんとも形容しがたい気持ちが残る映画だ。Youtubeか何かで購入して,何回か観たい映画。
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