[兵庫神戸] バジャージ邸~たたき売りされた異人館の末路


たたき売りされた異人館の末路
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2012/3/16(金) 午前 2:03 危機的建築&消え去る建築 歴史
一ヶ月前、神戸の異人館焼失を急報したが、今、ひとつ絶望的な異人館がある。
旧バジャージ邸
1981年より1994年までペルシャ美術館として公開されていた異人館である。
阪神淡路大震災で被災し、そのまま現在まで放置されている。
まったく手入れされていない為、廃墟と化している。
旧バジャージ邸は、かつてイラン総領事の屋敷だった。
そのため、ペルシャ美術館と銘打って公開されていたのだ。
大正年間の洋館建築で、異人館のなかでも大きい方の部類に入ると思われる。
北野異人館街の中心部にあって、国の重要伝統的建造物郡保存地区(重伝建)の
指定建造物 №3になっていた。
それが、1995年の震災後、空き家から、次第に廃墟化し、現在では、朽ちて半分は崩壊してしまっている。
まるで、お化け屋敷の様である。
このため、2003年には、重伝建の指定から除外されてしまった。
持ち主は、放置したまま既に日本を去ってしまっている。
ただ、納税も放置したため、滞納が積み重なり、この異人館は、神戸市が差し押さえている状態なのだ。
さて先月、その旧バジャージ邸の公売が新聞記事となっていた。
今まで8回も公売にかけられていたが、全く買い手がつかないのだそうだ。
その理由の一つは、立地が重伝建地区のため、別のものに立て直すとしても基準が厳しいのだそうだ。
結局、9回目の売値は、不動産鑑定評価の6割引での公示となった始末。
地元では、市による公園を希望していたが、財政難の市には、聞く耳持つ余地なし。
さて、それが、この新聞記事以降の2月29日に、漸く買い手がついたのだ。
60%OFFならば、利用制限はあるものの地価としては、破格であろう。
ただ、これは喜ぶべきことではない。
つまり、旧バジャージ邸が解体されることが、決まったわけだ。
お化け屋敷と化しながらも満身創痍でなんとか建っている異人館。
このまま売れなければ、まだ少し存続できたかもしれない、とも思うのだった。
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