[岩手金田一] 緑風荘〜座敷わらしの宿





 水木しげる『不思議旅行』〜座敷わらし
[岩手金田一] 緑風荘〜座敷わらしの宿
■ざしきわらし
『ざしきわらし』は,一般には赤い顔をした童子とされているが,なかには女の子だという人もいるし,『河童』の一種に違いないという説もあるし,いや,あれは『枕返し』の仲間だと断言するものもいる。姿かたちにしてこのようにまちまちだから,その行動とか現われかたになると,もう話をする人によってバラバラ。コチョコチョくすぐるとか,胸を踏んづけるとか,出現する前ぶれとして小便がしたくなるとか,その家の主人にしか見えないとか,バラエティにとみすぎて収拾がつかないほどである。
ただひとつ一致している点は,『ざしきわらし』がいなくなるとその家は衰えてしまうということぐらいのものだ。『ざしきわらし』に似たものは方々にいるらしく,アイヌでは『アイヌカイセイ』,朝鮮では『タイジュという名で呼ばれている。
ある日のこと,この『ざしきわらし』に会いにいこうという話がもちあがった。 児童雑誌の編集氏が,岩手県の山奥に 『ざしきわらし』が出る所があるから同行してくれというのである。編集氏は大きなカメラをぶらさげて,『ざしきわらし』を撮影するんだと大いに張り切っていた。
「あんた,一泊しただけで, ざしきわらしが撮れたら,それこそノーベル賞もんだよ」といったのだが,その編集氏さして動じる様子もない。妖怪なんて一生に一度会えるかどうかというシロモノなんだ。ちょっと行っただけで出会えるものじゃない。 彼はどうやらタヌキかキツネが出没するみたいに「ざしきわらし』もひょいひょい現われるんじゃないか,と気軽に考えているらしい。
それはともかく,ぼくとしても『ざしきわらし』現象の起こる場所というのは,一体どんなところか興味があったので,編集氏につれられて岩手県の金田一温泉にある緑風荘へ出かけることにした。この地方,たいへんな僻地だと聞いたものだから,用心に用心をかさねて南極探検にいくような恰好をして,ふところにはカイロまでいれて,緊張して出発したのだが,何のことはない。道路は東京と同じアスファルトだし,宿の前には少年マンガ誌も売っているし,コーラなんかもある。
もう日本には秘境なんかないんだ。そう思いながら宿屋に入れば,ここもアパート風な作りで,神秘感などあまりありそうにない。(こりゃあ,だまされた......)と思ってガックリしていると,夕方七時ごろ『ざしきわらし』の出る座敷にフトンが敷けたとその場所は,本宅というか旧宅というか二,三百年も前に建てられたらしい古屋で,道路に面している現在の宿舎の,ちょうど裏手に位置していた。厳しい風雪をじっと耐えぬいてきた旧家の太い梁。歴史をそのなかに滲ませて,にぶく黒光りのする柱。
暗く長い北国の冬をそのままうつしとったような廊下を渡って,かすかに埃のにおいのする座敷の空気に触れたとたん,なぜか背すじがゾクッと寒くなった。
旧家の座敷には,封じ込められた時が静けさとなってあたりを満たしている。その重い静寂の中で,ぼくたちは黙然と周りを見まわしていた。
そのときだった。不意にぼくの背後でなにかの気配がした。衣ずれの音を聞いた。
いそいで振り返ると,そこには一人の老人がひっそりと立っていた。まるで『ざしきわらし」を年とらしたような老人だった。この人が『ざしきわらし』を見たという宿の御主人だとわかったのは,たがいに挨拶をかわした後からだった。妖怪を見るほどの人は,やはりどこか妖怪じみたところがあるものだ。
「出るのはここらです」
座敷の一角を指でしめす老人の,何気ない説明のなかにも,旧家の重くのしかかってくる雰囲気がかさなって,ぼくも編集氏も一瞬,子供の冷たい手がうなじを撫でて通り過ぎた気がした。知ってか知らずか,宿の主人は,
「ストーブをつけましょう」
うっすらとしみの浮いた土壁にむかって声をかける。ぼくは老人がこのまま土壁の中に吸い込まれてしまうのではないかと思ったほどだった。
老人の言葉づかいや間のとりかた,音もなく畳の上を歩いていくその足どりも,どことなくふつうの人と違っているようにみえた。
「わらしは夜中の二時ごろに出るで,それまで,わしの部屋に来てらっしゃい」
ゆったりとしゃべる宿の主人には,もう『ざしきわらし』の姿が見えてでもいるみたいだった。部屋につくと,老人はまた話し出した。
「わしが二十四,五の時分じゃった。夜中にふわーっと童子のようなもんが出たので捕えてやろうとしたが,どうしたわけか体が金縛りにあって動くに動けん。しかたなく見逃したが,あれがわらしじゃったんじゃ。それはなにもその時に始まったことでなく,昔から出るといい伝えられておったんです。百年ほども前,狐か狸のしわざであろうと猟師が三人,鉄砲を持って泊まり込んだことがあった。二日目の夜に童子が現われたで引金ひこうとしたが,体が動かん。そのまま見過ごしてしまったという話を,当の猟師の一人が生きておるうちに,わしによくしてくれたもんじゃった」
また戦争中のこと,陸軍中佐がその部屋に泊まっており,童子が現われた。 中佐は部屋に仕掛けがしてあるに違いないと,天井裏から床下までくまなく調べたが何もない。どこかの節穴を通る光が,映写機のようにそれを映すのではないかと考えついたらしいが,裏付けるものは全くなかったので,「不思議だ」を連発して去っていったという。
戦後になってからは市役所の役人までがこの童子に出会ったことを聞いて,二,三人の霊媒がこの宿にやって来た。霊媒たちは異口同音に,これは亀丸という名の子供の霊で,後ろに母親の姿も見えると告げた。亀丸は南朝の血をひく天皇の子で,北朝の手を逃れて母とともに東北の地まできたが,ついに発見され殺害されてしまった。霊媒と亀丸の対話によれば,追手を逃れている間は乞食の態をしたり, 顔立ちまで変えて苦労しながら,この金田一温泉のあたりまでたどりついたらしい。
霊媒のみた『ざしきわらし』の姿は,昔の高貴な人がまとう服を身につけており,よく一般にいわれている顔の赤い,頭巾をかぶった恰好とは違っていた。それでも童子は,幾度となくこの家に幸運をもたらしていた,という。戦中に召集された主人は,なんの手違いか一人だけ帰還を命じられた。召集された者全員の戦死が伝えられたのは,それから間もなくのことだった。
旧家にまつわる幸運をあれこれ並べたあとで,御主人はすっと座を立つと,奥から亀の形をし
「世界に一つしかない二千五百万年前の亀の化石じゃ。 わしの土地に温泉が出てきたとき,これも土地から出てきた。 わしゃあ,亀丸に助けられ,亀石に救われて幸運だらけじゃ」
目を細めていとおしむようにいわれる。背をまるめた老人の小さな影が,座敷の隅にぼんやりとひろがり,暗がりに溶け込むあたりで,そのときゆらりと揺れたのは,ぼくの錯覚だったのだろうか。古い宿のなかは,また静けさを取り戻していた。
二時にはまだ間があったので編集氏はひと風呂浴びに出かけていった。
ぼくは『ざしきわらし』の出る座敷で待つことにした。電灯を暗くして,夜具にもぐりこむ。横になって闇を見つめた。暗闇は座敷全体を不透明な膜でとりかこみ,定かではない一つの空間を作っている。
じっと見つめるぼくの胸が,急に圧迫された。脈搏が大きく乱れた。ぼくをのみ込んだまま,座敷がぐらりとまわりはじめた。激しい胸騒ぎ,深い谷底に落下していく体......。あまりの恐ろしさに,ぼくは思わず立ち上がって部屋の明かりをつけていた。光が座敷の隅々まで照らしたとき,ぼくの気持に落ち着きが戻ってきた――。しばらく経って,風呂からあがってきた編集氏が,出ましたか,と尋ねたけれど,怖さに耐えられなかったぼくは,いや別に,と横を向いた。
あれをもう少し我慢していたらなにかつかめたのではないかと,今でも残念でならない。立ち上がって電気をつけなければよかったのだ。しかし,一方で,もしそうしていたら,今のぼくは存在していたのかどうかわからないというような気もする。

yguuhh pc   










「座敷わらしの話」
09-08-2024 11:00:18
By ATLAS
さて今回は、座敷わらしの体験談をまとめました。体験したのは私の兄です。
1993年の8月、私が高校3年生の時、好奇心旺盛な父が、岩手県の金田一温泉の座敷わらしで有名な『緑風荘』、そのまさに、座敷わらしが出る部屋を予約して、家族で一泊しに行きました。
地元では有名だったのですが、当時はネットも無かったので、まだそんなに有名じゃなかった座敷わらしの宿、ドキドキワクワクしながら宿に着きました。古いながらも大きい立派な宿でした。長い廊下の突き当たり、座敷わらしの出る部屋に通されました。10畳ほどの落ち着く和室で、床の間にはあふれんばかりのオモチャが『座敷わらし』くんに供えてありました。
うっすら色づいた熱めな温泉に浸かって、山間部の温泉地なので美味しい山の幸たくさんの夕食をいただいて、寝る時が来ました!私は座敷わらしに会えるかと、ドキドキワクワク胸高まったのですが、、、、、朝になり、家族みんな起きました。私は朝までぐっすり爆睡でした( ´艸`)( ´艸`)
「どうだった?」「なんか起きた?」
なんて家族で話してたら、兄だけがゲッソリと青い顔をして黙っていました。
「あれ?どうしたのお兄ちゃん?」「ねーねー」
「ぜんぜん眠られてもらえなかった・・・」
「え~ダッシュ!座敷わらしに会えたの?いいないいな!」
と無邪気な私。詳しく兄に聞きました。家族が寝静まり、自分だけが寝むれないでいたら、耳がキーーンってなり、金縛りになって《遊ぼ!遊ぼ!》とテレパシーを感じ。姿は見てないけど子供がすがって来たそうです。それで兄は「ごめんね、疲れてるから眠らせてちょうだい~」って頼むと、金縛りが溶けるそうです。それで、うとうとし始めると・・・また耳がキーーンってなり、また金縛りになって、また「遊ぼ!遊ぼ!」ってテレパシー来て(* ´艸`)クスクス またすがって来たそうです。それで、また「ごめんね、ごめんね、眠らせてね」とお願いすると、金縛りが溶けて、、、これを朝まで何度も繰り返したそうで、ちーっとも眠れなかったそうです。6~8回は繰り返したそうです。最後の方には兄も「お願いだから寝かせてー!!!( ;∀;)」って懇願したそうです((´∀`))ケラケラ そして、とうとう外が白んできて、ようやく「遊ぼ!遊ぼ!」は、ようやく止んだそうです。いやー、私コロルは、爆睡してて、まったく気がつかなかったなぁ( ´艸`) ぐっすり寝た家族と、ひとりだけグロッキーな兄で、帰路に着きました。後日、現像された写真を見たら、今で言うオーブがわんさか写っていました。そのオーブはマンガで描くキラキラマークみたいに菱形に光っていました。当時はオーブとか知らないので、『なんだ、このキラキラは?はて?』と思っていました。
さて、緑風荘の座敷わらしに会うと、その後、出世すると言われているのですが、兄は家業の跡を継いで立派な経営者になっています。周囲の評判も良いようです。座敷わらしくんのおかげかな。テレビなどで、その後、全国区で有名になった金田一温泉の緑風荘。テレビなどで目にする度になつかしいその一泊旅を思い出します。
ではまた。
(アトラスラジオ・リスナー投稿 コロルさん ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

ATLAS
https://mnsatlas.com/



















座敷童子の宿緑風荘です✨たくさんの童ちゃんに会う事が叶いました✨緑風荘を知ってから実際に宿泊するまでに30年かかりました😅 その間には宿が火災になり消失などありましたが,こうして訪問させていただけた事に感謝します‼️
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金田一温泉緑風荘は座敷わらしてお馴染み。「よく出た」とされる建屋は火事で全焼してしまいましたがクラファンで再建、その槐の間を拝観です。残念ながら、座敷わらし本体も、あと牧口カフェの 牧口誠司 さんが「座敷わらしに盗まれた!」と称するお猪口なども、見当たりませんでした!!
泊まると夜中でも覗き見放題!^^;
#よねざわいずみの温泉駅全部入る第4弾金田一温泉駅
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すぽんちゅ@仏教は最高の教え @Iwatekko6969
行ってきたぜ……「座敷わらしが出る旅館」こと、岩手県二戸市の緑風荘によォ……。
結論から言うと、います。なんか得体の知れないものが確実にいる。別に見えないし聞こえない人だけど、槐の間ではずっと総毛立つ感覚があって落ち着かないのなんの。
アレは勘違いや思い込みではないと思う。 
これが座敷わらしが出ると噂の槐の間。思ったより広い部屋だし、見学自由という、一種の観光名所と化していた。
この部屋が本当に気持ち悪いというか、自ずからの威厳があるというかで、立ち入った瞬間私はゾワーッと鳥肌が立って以後ずっとそのまま。
他の部屋は知らないがこの部屋は確実に変だ。 
部屋の中には大学ノートが置かれていて、自由に書き込める環境だったんですが、幸運を授かったか否かは別にして、想像以上にみんな座敷わらしに会ってたのが驚き。枕元を歩いてただの、腹に乗られただの、全く嘘の匂いがしない体験談が生臭くて生臭くて震えた。ここは「ガチ」です、多分。
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良く「運がいい」と…言われるんですが…
やっぱり…これかな…?😱 
座敷わらし伝説の旅館…「緑風荘 槐の間」
「ゆず」も…この部屋に泊まったらしい…
#座敷わらし #槐の間 #オーブ #助けられる #運気が上がる #運がいい #守られてる #熱田神宮 #龍神 #緑風荘 #金田一温泉

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