[鉄道][岩手] 山田線/大志田駅
2008/1/29
「山田線大志田駅 待合室の貼り紙」 エッセイJR東日本の駅
大志田駅(山田線)
明るいうちに大志田駅に停まる列車は、1日に1本、宮古発盛岡行の1番列車だけである。他には、夜暗くなってから上下1本ずつあるものの、これで降りたのでは、駅の周りの景色がわからない。そこで、前日に宮古の駅前に泊まり、朝4時台に起きて1番列車に乗った。
あまりにも早起きしたので、体が起き切っておらず、頭が朦朧としている。途中の川内駅で後ろ2両を切り離し、身軽になった2両編成の列車は、峠越えをして山中の大志田駅に着いた。ホームに降りると、遥か下の木々の間から響いてくる沢の音とともに、カッコウや鶯、ちょっと来いと啼くコジュケイの声が、時折、聞こえてきた。その声がぼんやりした頭に沁み渡る。
うっとりするような気持ちでホームを歩いていると、2畳ほどの大きさの待合室のドアに、真新しい紙が貼られているのが目に入った。
「最近、ホーム付近で、『熊』を見かけたという情報がありました。駅をご利用の際には、ご注意下さい。盛岡駅長」
この警告文の中で、『熊』の部分だけは赤文字になっていた。本当に熊が出たら、この待合室に逃げこんでも、待合室ごと、あっという間にバリバリと倒されてしまうだろう。今は辺りが明るいから良いようなものの、夜この駅に降りたら、足元の蕗が風でちょっと揺れただけで、熊が出たかとびくびくするだろうな、と思った。
砂日塚ノオの駅途中下車
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