[鉄道][北海道日高] 日高本線紀行






日高幌別駅


◆日高幌別駅
「日高本線日高幌別駅 日高幌別の引き波」  エッセイJR北海道の駅
日高幌別駅(日高本線)
薄い海霧に包まれた日高幌別駅の1面1線のホームに降り立つと、目の前に、2階建ての立派な駅舎が建っていた。駅員はいないものの、中に郵便局や食堂が併設されており、車でやって来たお客が出入りしている。
駅舎の中に置かれた、近隣の牧場の楽しげなパンフレットを眺めたり、食堂で定食を食べたりしたが、先ほど降りた列車が、3駅先の終点の様似で折り返して戻ってくるまで、まだかなり時間がある。そこで、周囲を散策することにした。
ホームから線路伝いに湿った砂地の上をあてもなく歩いていくと、浜の方に向かう細いけもの道があった。何となくその道に分け入り、背丈の低い草を踏みながらしばらく進んで浜に出る。と、傾斜のついた広大な渚に、南洋からエネルギーを蓄えてきた力強い波が、自在に寄せては引いていた。その波に運ばれてきたものなのであろうか。骨のようになった枯れ木が暗い砂の上に散乱していた。
何とも、すさまじい光景である。渚で一人、波頭を眺めながらじっとしていると、波に吸い込まれそうな気がする。浜の傾斜のせいか、引き波の力が結構強いようなので、波に足をすくわれたら、一気に沖まで体をもっていかれかねないな、と思う。振り返ってみれば、さほど距離はないはずなのに、枯れ木の向こうの草原が尽きたところに、駅がおぼろに霞んでいる。まだ経験したことはないが、今生、他生を分かつ三途の川のほとりで、振り返って現世を眺めたら、このような感じの光景が眼に映るのかもしれないな、などとくだらぬことを考えた。

砂日塚ノオの駅途中下車
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/263.html
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/349.html
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/185.html
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/191.html
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/56.html
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/359.html
https://air.ap.teacup.com/sahizuka/150.html

ぼくのメモ帳
https://blog.ap.teacup.com/kntk123/159.html